Etsuko Hanajima
IPATの雑誌Porcelain Artist、2020年夏号の表紙に掲載された私の作品。
2014年IPAT大会。ゲストアーティストとして招待された際、世界のトップアーティスト達と。
花島悦子 Etsuko Hanajima
1961年、埼玉県さいたま市生まれ。
明治大学文学部卒業、商社勤務、結婚、出産を経て磁器絵付(ポーセリンペインティング)の道に進む。
多彩な上絵付技法を融合した和風モダンの独自な境地を確立し、陶画舎大賞、数度にわたるIPAT世界大会金賞など、国内外の展示会で多くの受賞を果たす。作品は日本のみならず世界各国の絵付専門雑誌で数多く紹介されている。
2014年には米国の世界最大の絵付けスクール『GA Seminar by the Sea』より日本人初の講師として招聘され、以後レギュラーの講師を務める。同時に米国各地、東南アジア、オセアニアなど諸外国、九谷上絵付組合、原宿陶画舎、株式会社日本ヴォーグ社など国内外での招聘セミナーを通じ絵付の指導経験を積み重ねる。
近年は日本国内を中心に、絵付の指導とJPAC(ジェイパックJapan Porcelain Artists' Club)、IPAT (アイパットInternational Porcelain Artists & Teachers Inc.)などの団体を通じ、絵付の国際交流、普及活動にも力を入れている。
厚生労働大臣認定一級陶磁器技能士
IPAT(International Porcelain Artists and Teachers, Inc.)日本代表(2020-2024)
IPAT Master Artist, IPAT Master Teacher
Web”おうち習い事サイト”miroomにてレッスンを公開中。初球から上級までバラエティに富む丁寧なレッスンを受講できます。
Etsuko Hanajima Studio(予約制)主宰
株式会社日貿出版社より
『ポーセリンアートの装飾テクニック』(2011年初版、2017年新装版)
『ポーセリンアートの和モダンテクニック』(2014年初版)を出版。
《花島悦子ポーセリンアーティストとしての軌跡(1995年頃~2019年)》
1990年代、一人息子が幼稚園に上がり、少し自分の時間が持てるようになったころ、軽い気持ちで始めたポーセリンペインティングでしたが、ここまで深くのめりこむとは想像もしていませんでした。
2002年に米国ロスアンジェルスで開かれた絵付けの国際大会に初参加し、思いがけず銀賞を頂きました。そこで目にしたダイナミックでゴージャスな絵付けの手法に強い衝撃を受け、アートとしてのポーセリンペインティングに魅了されるようになりました。当時、日本ではポーセリンペインティングは『食器の絵付』という考え方が主流でありましたが、私の中では『白磁にアートする』という感覚に置き換わりました。
その後、日本で学べる様々な手法の絵付けを貪欲に学び、子供の手が離れるにつれて、海外のスクールやセミナーにも参加するようになりました。海外の様々な絵付分野の先生を日本に招聘してセミナーを開催し、友人や生徒さんたちと共に多様な技術を学ぶようにもなりました。同時に国際的な絵付大会に積極的に出品し、数多くの賞を受賞いたしました。オファーを受けて、ゲストアーティストとして海外の絵付大会にご招待いただくようにもなり、そのようなご縁から、海外の絵付スクールやクラブの招聘講師としてのオファーも受けるようにもなりました。この間、2011年と2014年に日貿出版社から2冊の本を出版させていただきました。この前後の10年間は家庭と、仕事となった趣味の間を速足で綱渡りし続けているような、危ういバランスを必死で保つような日々でした。
こうして、ひたすら前のめりに走り続けてきた私でしたが、転機は突然訪れました。2016年2月、既にレギュラー講師となっていた米国の世界最大の絵付スクール『GA Seminar by the Sea』で教えている最中、それまで感じたことの無いしみじみとしたホームシックにかかりました。競争の激しい米国社会。スクールの講師としての地位は、スクールのオーナーが毎年、世界中から探してくる新人講師に常に脅かされ、そこを勝ち抜くために、だれにも負けない講師としてのパーフォーマンスを毎回、最大限に発揮していかなければならない厳しい現実。家族と離れ、セミナースタジオとして私にあてがわれた美しい海辺の貸別荘のリビングで、たった一人で大西洋のおだやかな波を眺めながら、休日にもかかわらずセミナーの準備をしているうちに何とも言えない虚しさ、寂しさがこみ上げてきました。その場にいるという事は、米国のトップのポーセリンアーティスト達と同じ土俵にたどり着くことができた証であり、私自身の夢を実現させた極みであったにもかかわらず。突然、神の啓示を受けたように『一度リセットしたい。』という気持になったのでした。既にその後数年間のオファーも受けていたのですが、全てお断りし、ここで一旦、海外転戦生活に区切りをつける決心をしました。
2016年は私にとって大きな転換点であったことは確かです。暮れには、25年暮らした埼玉県春日部市から東京都足立区に引っ越しました。その前後、息子の結婚、相次いで誕生した二人の孫。いつも私の夢を応援してサポートしてくれた両親も年齢を重ね、私は一家の主婦として、妻として娘として親として祖母として(!)、多くの時間を家族のために費やすことになりました。それは同時に、私の夢の実現を黙って応援してくれた夫をはじめとする家族への恩返しでもありました。
長年教えていた軽井沢や高崎の教室も、幸い多くの生徒さんが、巣立ちのレベルに達したこともあり、2017年をもって終了させていただきました。多くの自宅教室の生徒さん達にも巣立っていただきました。
こうしてやっと少し余裕らしき時間を持てるようになり、私を育ててくれた絵付け界への恩返しも込めて、大役を引き受ける決心が付きました。2018年の9月にJPAC (ジェイパックJapan Porcelain Artist's Club)の会長に就任いたしました。(2018-2022年)
今、振り返ると私は、体力と環境と運に恵まれて、絵付(ポーセリンペインティング)の世界において自分の夢を実現し、誰もが見ることができるわけではない世界を覗くことができたと感じます。私はその経験を世の中に正しい形でフィードバックしつつ、今度は若きポーセリンアーティストたちの夢を応援し、自分自身も新たなる高みを目指して日々精進してゆくことがこれからの務めであると思っています。(2019年4月 花島悦子)
ミシガンセミナーでメアリーの家にホームステイ
極寒のシカゴセミナーの休日
『GA Seminars by the Sea』のおひざ元、夕暮れのタイビーアイランドの灯台。
スクールの休日、唯一の観光は海辺の散歩。
穏やかな大西洋を望む砂丘にて。