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IPAT生涯会員

更新日:2024年7月3日

2019年の11月、米国に本拠を置く国際的な絵付け団体、IPAT(アイパットInternational Porcelain Artist & Teacher Inc.)から、私がLifetime member(生涯会員)に処遇された旨の手紙が届きました。生涯会員とは、生きている限り、毎年、意思を示せば無償で会員としての権利を受けることができるという大変名誉な待遇であります。その知らせは何の前触れも無く唐突に届き、本当に驚きました。この生涯会員の名誉を受けたのは存命中の歴代の米国人プレジデント達と日本にIPATを紹介し、長年多岐にわたり貢献し、数年前に絵付けの世界から引退された奥村由美子氏そして私がその末席に加わらせていただいたのです。

数年前まで10年間近くIPATの役員(資格審査委員と日本代表)を務めたことが、走馬灯のように思い出されてきました。その仕事のほとんどは誰にも評価されることの無い地味な無償の仕事でした。ここ数年は、家庭の事情もありIPATと関わる時間は減少していたので今更ながらの名誉に大変驚くと同時に、何とも言えない静かな喜びと感謝の気持ちが心に満ちてきました。

最初にIPATの役員を引き受けたのは、2005年頃の事であったと記憶しております。当時、IPATというインターナショナルな絵付けの会で役職に就任するという事は私にとって、いつかかなえたい憧れに近い目標の一つでありました。当時はまだまだ、絵付界ではさほどの実績が無い私でしたが、ある日、親しくさせて頂いていた先生から「IPATスクリーニングコミッティー」というアジア地区の資格審査役をやってみないか、とのお声がかかりました。今にしてみれば、若さゆえの怖いもの知らずだった私は、迷うことなくお引き受けすることに決めました。しかしその後、若輩者の私が名誉な役職を二つ返事で受けたことで、一部の方から快く思われていないという話が耳に入ることがありました。しかし私は一生懸命誠実なお仕事をすることで、理解してもらうしかない、と心を決めて頑張ることにしました。そうは言っても、当時『IPATの資格取得』が大変ブームになった時であり、資格希望者の申請書や提出ファイルがどんどん自宅に送られてくるという状況になり、確認と事務作業の仕事は想像以上に多岐にわたり、場合によっては経済的な持ち出しになることもある大変な仕事でありました。かといって、引き受けたからには簡単に投げ出すことはできませんでした。誰にも愚痴を言えず精神的に追い詰められて、信頼できるスピリチュアルな人に相談したこともありました。つまり「アーティストとして作品制作をする時間を奪うボランティア仕事にかかわるのはもう全部やめて、私は作品制作に専念するべきなのではないか。」という相談です。私は誰かに「作品制作に専念しボランティア仕事はやめた方が良い。」と言ってもらえれば、お役を代わってもらう口実になり、少しでも楽になれると期待したのです。しかし、スピリチュアルな人はこう言いました。「あ、今メッセージが来た。あなたはボランティア仕事をつづけた方が良い。それは自分のためでもあるから。」それを聞いたときには、全然具体性を伴わないアドバイスなのに、なぜか腑に落ちて腹が決まりました。仕事の実態を知らなかったとはいえ、若輩者が望んで引き受けた仕事なのだから、つらいことがあっても当然のことでした。結局その後、長年にわたる役を頑張りぬいたことで、IPATや周囲の信頼を得ることができ、「IPAT日本代表」に選ばれ、その後のチャンスにも繋がりました。それだけで十分報われたと思っていたので、こうして何年もたってから改めてIPATから過去の実績を評価して頂いたのは望外の幸せと感じたのでした。


以下2024年に追記:

私がIPATのスクリーンコミッティーや最初に日本代表をお引き受けしていた当時は日本には100人以上のIPATメンバーがいました。しかし、コロナ禍、JPACの出現などの時代の流れの影響を受けて、残念ながら日本のIPATメンバーはかなり減少してしまいました。日本にもIPATのような会が必要と思って作ったJPACがIPATに代わり日本の絵付け愛好者の受け皿になった事は嬉しい事ではありますが、少し複雑な思いもあります。かつては大勢の日本人会員がIPAT大会に参加していた当時を懐かしく思い出します。

海外の絵付け愛好者と交流する事は、新たな刺激やチャンスを得ることも有り、とても有意義な経験です。国際的な絵付け活動にご興味がある方を、是非IPATにお誘いしたいと思います。https://www.ipatinc.org


IPAT大会のFlag Ceremony



 
 
 

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